満ち足りて優しく生きるための覚書

自分を好きになる、自分に生まれてよかったと言える、満足して、自分にも人にも優しくなれる、そんな人生にしたい。

パワーの源

自分の人生は、自分で生きていくしかない。

当たり前のこと。

どんなに大変でも辛くても投げ出したくても、生きていく責任がある。

自分が自分の人生の主役である。

でも、私は、いつも自分が主役とは思えていなかった。

誰かの指示待ちの人生だった。誰かに尽くす人生、追っかけの人生。

つまり、誰か他の人が中心の人生だった。

中身が空っぽで、誰かに嫌われないように、好かれるために、人に合わせ、いい人を演じていた。

 

特に、大好きだった人が目の前からいなくなった時、彼がどこで何をしているのかも分からず、連絡もできず、諦めることもできず、足は地についていなかったし、頭は常に彼を想い、自分自身がまるでなかった。

景色は色がなく、気持ちも入らず、ただ仕事をこなすだけだった。

正直今思い返してもどう過ごしていたのかもあまり覚えていない。

時間がどんどん過ぎていくのに、何もできない自分がイヤでイヤで、また同じところでグルグルしている自分が情けなくて、どんどん気持ちが落ちていった。

 

どん底まで落ちたと思った時、ようやく、こんなことをしていてはいけない、と目が覚めた。彼のことは追いかけてもどうにもならない。忘れよう。

お店やろう。長年の夢だったんだから。

以前、彼が仕事を転職する前、一緒に働けるのもあとわずかとなった時、私は、彼に「自分のお店を開くのが夢なんだ。開店したら来てね!」と話したことがあった。

そしたら、彼は「おう!」と言ってくれた。社交辞令でも嬉しかった。

私がお店をオープンしたら、きっと彼は来てくれる。

そう思ったら、力が湧いてきた。彼に会える最後のチャンス。

会うためには何が何でもお店オープンしなければ。

彼がパワーの源だった。

勤めていたお店、彼と一緒に働いた思い出の仕事場を辞めた。

 

物件探しを始め、店舗設計会社を探したり、仕入れ先を探したり、食器を探したり、音楽探したり、苦手なパソコンも勉強し始め、とにかくできることを少しずつやり始めた。

しかし思うようには進まない。物件はなかなか見つからない。

お金もどんどん減っていく。本当にこの時期は苦しかった。

彼にも会えないし、開店準備も進まないし、どん底から少しずつ這い上がっているつもりがやっぱり同じところでグルグルしていた。牛歩の歩みだった。

物件も50件ほど見ただろうか。

その中で、契約したい場所も2か所ほどあったけれど、大家さんと意見が合わずできなかったりした。

お店のためにと貯めていた資金に手を付け、生活も苦しかった。途中でバイトをしたり、派遣でスポットの仕事をしたりした。

 

なんで、思うように進まないのか、本当は心の底ではわかっていたんだ。

私は、自信がなかった。恐れていた。

自分がお店なんかやって一人でやっていけるんだろうかって。

そして、やり始めたら、簡単にはやめられない、死に物狂いで頑張らなきゃならないって。休みがなくなる。親の承諾も得なきゃならない。親にも少し資金援助頼みたいけど言い出しづらい。

お店やりたいって言ってるけど、本当にこれやりたいことなの?って。

ただ、人の下で働きたくないだけじゃないの?でも、もう後には引けないよね。って。

そこに、向き合わなくていいように、先延ばしにしたいために、物件が見つからないのだと思う。

夢に向かっているはずなのに、全然楽しくなかった。気持ちが重く、どんよりしていた。

ここから抜けるのにもすごく時間がかかっていた。

覚悟が足りなかった。

 

彼に会いたいのはやまやまだけど、それ以上に大きな不安に負けていた。

強くならなくちゃ。自分がやるんだから。自分が主役でやるんだから。

変化していくことを恐れないで。

自分の人生を楽しんでいい。楽しむことを自分に許していい。

我慢して、辛くて、泣いて、落ち込んでばかりの人生なんてもイヤ。

もう少し、肩の力を抜いて自分の人生楽しんで、楽に、行こう。

やりたいことはきっとできるはず。完璧に準備ができたらやろう、なんて言ってたら一生できない。完璧じゃなくたっていい。開店してからお客様に育ててもらったらいい。

 

毎日が不安と叱咤激励の繰り返しだった。