ご褒美
本当に、夢が現実となる。
物件を契約してから、設計会社さんの工事が始まり、あっという間に店が出来上がっていった。
自分の心が追い付かないまま、現実なのに、まだ夢を見ているような気分。
自分でやる、という意識がまだ整っていなかった。工事を見てワクワクしていた。
店舗が出来上がり、電化製品を入れ、備品が揃い、仕入れをし、開店のチラシを配り、友人知人達に開店のお知らせのはがきを出した。
もちろん彼にも出したよ。ようやくこのお知らせを出す時が来たのだ、と感慨深かった。
(余談になるが、彼が海外に仕事に行く前に、ご飯に行く話があったが、それは叶わなかった。私も忙しくなったし、彼もいつのまにか海外に出立していたようだ。連絡は取れなかった)
今、彼はどこで何をしているのかわからないけど、無事に彼の元へ届きますように。
来てくれるかどうかはわからないけど、チャンスはあるよね。
後は神様に祈るのみ。ご縁があるなら、来てくれるだろうし、ないのならそれまで。
余りにもたくさんやることがあって、目が回るような忙しさだった。
プレオープンの期間を経て、グランドオープン。
感動もそこそこに、お店の日常が始まった。
正直なところ、今振り返ってもあまりよく覚えていない。
一生懸命、ただ毎日を過ごす。お客様に尽くす。できる限りのことをする。
慣れるのに必死。ワンオペなので誰にも頼れず、とにかくやるしかなかった。
夢がかなって嬉しいけど、それに浸る余裕はなかった。
思っていたより大変だった―。
そうして数か月過ぎて慣れてきた頃、なんと、彼がお店に来てくれた!
夢にまで見た再会。一瞬頭が真っ白になって、理解するのに時間かかったと思う。
本当に心からビックリしたし、嬉しかった。それこそ夢のようだった。
彼が前の店を辞めて、会えなくなってから、再会するまで3年半が経っていた。
神様、再会させてくださってありがとうございます!!
神様にも、彼にも感謝感謝だった。
神様が、長年の夢を叶えて頑張った私に、ご褒美をくださったのだと思った。