推しは推せるときに推せ
推しがいる世界は本当に幸せだ。
見ているだけで気持ちがあがり、力が入る。自分も頑張ろうって勇気をもらえる。
私は正直、いつでも推しがいて、がっつり追っかけるタイプである。
もちろん、第一印象は見た目から入ることが多いけど、「この人はいったい誰?」と興味をもって背景を調べ始めると、とことんはまってしまうのである。
どちらかというと、強い人が好き。
そして強いのに、笑顔がかわいくて優しい人が好き。
トップクラスの強く出来上がった人が好きなんだな。
そして、トップに立つために、トップを維持するために、努力する人が好き。
自分の成長を信じて、トップに立てることを信じて、自らを鍛える。その強さに憧れる。あんなふうになりたいな、なれたらいいな、すごいな、って尊敬があるのだ。
人によっては、まだ出来上がってない若い人が努力して何年もかけてトップに這い上がってくるのを応援するのが好き、という人もいるね。
私は、今まで外国人の俳優さんや、スポーツ選手などにはまって、よく映画を見たり、試合を見たり、イベントに行ったりして、その人の活躍を応援しに行ったものだった。
応援しているその人は、いつまで応援できるかわからない。その時の体験はその時にしかできない。怪我をしてやめてしまうかもしれない、引退したら会えなくなってしまうかもしれない。時間は有限なのだ。
できる限り、現地に行って応援したいと思う。
そして、私が応援しているということをその本人にも知ってもらいたいと思ってしまうのだ。もちろん、本人の迷惑にならない範囲でだけどね。追っかけは楽しい。
その時の経験は、宝物だ。
確かに、目で見たものは、いつか忘れてしまうけれど、その時、身体で感じた感動や空気感、雰囲気、幸せ感というのは、いつまでも忘れないものなのだ。
全身が包まれたその高揚感は忘れない。
例え、その人と会えなくなっても、気持ちが薄らいできたとしても、自分が体験したその幸せな雰囲気は、何年たっても、ついこの間のことのように鮮明に覚えているのである。あの時は、本当に幸せだったなぁ~。
その、満たされた空気感、身体が覚えている。
大好きな人に会えるのは本当に幸せなことだよね。
生きる力が湧くよね。それは、一方的に大好きな場合でも。
同じ空間にいられなくても。
違う世界の人でも。
その人を見ていると自分の中から愛が湧いてくる。大好きで大好きで、思っているだけで幸せ。本当に、この人と出会えてよかった。って思う。
それが現実的に近い人だったらなおさら。
私はスポーツ選手を追っかけている時期に、不意にツインソウルと思われる相手に出会った。
そんなこと、予想もしてなかったし、その人に本気になるとも思ってもいなかった。
最初に出会った時、目がきれいな人だなと思った、というのは前にも書いたけれど、それと同時に、優しそうな人だな、とも思ったのである。
仕事場での出会いだったけど、その人の仕事ぶりがとてもスマートでそつがなく、仕事ができる人だった。
私は、その当時仕事を掛け持ちをしてて、常勤の仕事と、空いた時間に入る派遣の仕事をしていた。その人は、派遣先の仕事の人だったため、いつも会えるわけではなかったが、派遣に行った時にいたら嬉しかったし楽しかった。
とても気が合い、いろんな話をした。
お互い海外旅行が好きで、それまでに行った海外がほぼ重なっていたし、その人が留学した先がとてもマイナーなところだったのだけど、私は過去に2度その町に行ったことがあった。他にもたくさんの共通点があった。一緒にいて、とても気さくで楽で楽しい人だった。
推しは推せるときに推せ、と追っかけしてたのに、すっかり気持ちが現実的な方に向いてしまった。
そのお店の派遣の仕事がなくなってしまってしばらく会えない時期があったが、また、忙しい時期が来て、派遣の仕事が回ってきた。
その時には、私は常勤だったお店をやめ、その派遣先を常勤として入ることとなり、ほぼ毎日会えるようになった。本当に幸せな時間、空間だった。
でも、お互い派遣なので、常勤とはいえ、いつかは会えなくなるのはわかっていた。
会える時間には限りがあるので、大事に楽しく過ごそうと決めていた。
一日でも長く、たくさん会えますようにと願って。
一緒に働けたのは一年くらいだったかな。
その人が転職してしまったのだ。転職先は聞いたけれど、しばらくするとそこもやめてしまったとうわさが伝わって来た。
その後はどこで何をしているのかわからなかった。
同じ仕事場の同僚だったけれど、違う派遣会社の人だったし、友達というわけではなかったので、そうそう連絡することもはばかられた。その時点で電話と住所だけはわかっていたけれど。
連絡してみたかったけど、なかなか連絡する勇気は出なかった。
本当に、時間は有限なんだよな。
「推しは推せるときに推せ」って本当に思う。
会えなくなってからじゃ遅い。
推せなくなる時はいつか来る。
推せる時間を大事にね。